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2023年税制改正大綱(インボイス関係)まとめ

2023.03.26

コラム

2022年12月23日に2023年度税制改正大綱が閣議決定され、消費税のインボイス制度に関する改正が行われました。

ポイント

1. 新たにインボイス発行事業者となる小規模事業者の消費税負担は売上消費税の20%になります。

2. 1万円未満の支払については、インボイスが不要になりました。

3. 各種届出の期限が緩和されました。

消費税2割計算の特例措置

「消費税2割計算の特例措置」は、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間、売上の消費税の2割を納付税額とすれば良いという特例措置です。

例えば、売上が税抜700万円であれば、消費税は10%の70万円です。特例措置を適用される事業は、そのうちの2割である14万円を税務署に納めれば良いことになります。

なお、この特例措置は確定申告書に付記するだけで適用することができ、特別な届出は必要ありません。

この特例措置の対象者は、以下の事業者です。
1.インボイス発行事業者として課税事業者となった免税事業者
2.課税事業者の選択をして課税事業者となった免税事業者

この制度は、インボイス制度によって消費税の課税事業者になることを避けられない人たちの、収入減を緩和するために導入されたものです。

1万円未満の支払におけるインボイス不要の経過措置

「1万円未満の支払におけるインボイス不要の経過措置」は、2023年10月1日から2029年9月30日までの間に国内で行う1万円未満の支払について、インボイス不要(帳簿のみでOK)となりました。

ただし、基準期間(法人であれば2事業年度前、個人であれば2年前)の売上高が1億円以下の事業者に限られます。

基準期間の売上高が1億円を超える事業者は、インボイスの交付が免除される取引を除いて、金額に関わらず全ての取引について消費税を差し引くためにインボイスが必要となります。

売上高1億円が基準となっておりますので、1億円前後の売上がある企業は年度ごとに対応が異なってしまいます。ややこしいですね。

届出期限の特例

消費税法は、届出について期限を設けています。
消費税課税事業者選択(不選択)届出書・・・適用したい課税期間の前課税期間の末日まで
簡易課税制度選択(不適用)届出書・・・適用したい課税期間の前課税期間の末日まで

このように、基本的には「その年(事業年度)が始まる日の前日まで」に、消費税の課税事業者の選択、簡易課税制度の選択をしなければならないのです。

しかも、一度選択したら2年間継続しなければなりません。

売上が安定しない小規模事業者にはきつい制度です。

今回の改正では、この届出の期限の特例ができました。

消費税課税事業者選択不適用届出書の期限の特例について、2023年10月1日の属する課税期間から、インボイス発行事業者として課税事業者となった免税事業者、課税事業者の選択をして課税事業者となった免税事業者が、その課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときには、その課税期間から免税事業者になることができます。

また、簡易課税制度選択届出書の期限の特例については、上記の消費税2割計算の特例措置の適用を受けた事業者が、その翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、その提出した課税期間から簡易課税を選択できます。

つまり、すでにその年(事業年度)が始まっていても、初日に戻って免税事業者に戻れるということです。

周りに言われて焦ってしまい、インボイス発行事業者に登録したけど、免税事業者でもよかったな…という人を救済する措置です。

また、インボイス発行事業者の登録期限や登録取消しの届出書の期限も見直されました。

詳細は以下の通りです。

免税事業者が課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を受けようとする場合には、受けようとする課税期間の初日の15日前(現行:1月前)までに申請すれば良いことになりました。

インボイス発行事業者が登録取消しの届出書を提出して翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、その翌課税期間の初日の15日前(現行:30日前)までに届出書を提出すれば良いことになりました。

以前は、インボイス制度が始まる2023年10月1日からインボイス発行事業者になるためには、原則2023年3月31日までが登録期限でした。

それを過ぎた場合でも、やむを得ない理由を記載した上で2023年9月30日まで延長することが可能でしたが、今回の改正ではそのやむを得ない理由の記載が不要となりました。

まとめ

2023年度(令和5年度)税制改正大綱のうち、インボイス関係についてまとめました。

インボイス発行事業者として課税事業者となった免税事業者は、「消費税2割計算の特例措置」により売上にかかる消費税のうち20%を納めれば良いことになりました。

そして、2023年10月1日からは、仕入税額控除にはインボイスが原則必須となりますが、1万円未満の仕入税額控除については、帳簿のみでOKとなっています。

また、届出の期限についても緩和措置が取られています。

免税事業者の方は、この改正によってルールが複雑になっているように感じるかもしれませんが、いずれも免税事業者の事務負担を考慮したものだと思います。

もし、「自分はどうすれば良いのだろう?」と思われている方は、当事務所にご相談ください。

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